ジ――――っ ジ――――っ
ス―――チョン ス―――チョン

よるの虫の声がする……。

あたしとグランディは見なれた場所ばしょにいた。

「ミシェルのお家だ……。」

「どうやら……帰ってきたみたいですわね。」

ルーナさんがグランディの願いをかなえてくれたんだ。

「グランディ、見て。お月さまがきれい。」

「きれいな満月まんげつですわ。あなたが出発しゅっぱつした時も満月でしたから……ずんぶんと長いたびでしたわ。」

「そうだっけ?」

「もぅ……そうですわよ。」



バサッバサァ

はねをばたつかせる音がひびいた。

そこにはカラスが一羽いちわ

「あっ!バズーもいたの?」

あたしはバズーにかけよった。すると…、

『……ケケケ…チビスケども、たっしゃでやんな……。』

バズーはそういうと、はばたき、空をめざした。

「バズーがしゃべりましたわ!」

あたしはその声がだれなのか、すぐに分かった。

そして、飛びっていくバズーを追いかける。

「ランダさぁぁん!ルーナさんが、よろしくってぇぇ!あのぉ、こんどぉ、会いにいってあげてねぇぇぇ!!!」

あたしはバズーを見送みおくった。そのすがたが見えなくなるまで。








「じゃ、はいろっか。」

「いけませんわ。」

グランディがあたしを止めた。

「家からいなくなった人形が突然とつぜんあらわてごらんなさい。お家の人がビックリしますわ。朝までここで待った方がよろしいですわね。」

グランディは玄関げんかんの前にこしかけた。

あたしも、その横にすわる。

そして、ちょっと不思議ふしぎに思ってたことを聞いてみた。



「ねぇ、グランディはなんで魔法まほう がつかえるの?それ、あたしもつかえるようになるのかな?よかったら、 おし えてくれない?」

「オホホホ。それは……残念ざんねんだけど、ムリですわ。」

「どうして?」

「……わたくしの体のどこかに悪魔あくま のツメがぬい込まれてますわ。魔法がつかえるのはそのせいね。わたくしを作った方が、この家のお まもりとして、きっとそうしたんでしょう。」

「な〜んだ。あたしもつかいたかったな……。」

「ルーナさんもおっしゃってたでしょ。チカラはつかい方が 大事だいじだって……。」

「あたしだって……きっと、だれかのために…つかうわ。」

「エルシー。あなたはそんなチカラがなくても………わたくしにいっぱい 勇気 ゆうき をくれましたわ。」

「?そうなの。」

「あなたは……なんだか……ほっとけませんわ。何にでもつっこんでいきますでしょ?」

「……たしかに……そうかも。」

「わたくしはあなたを守るために 必死 ひっし になってましたわ。じつはこのチカラ、どうつかうのか、何につかうのか、よく分かっていませんでしたの。でも、今ならわかる。エルシー、あなたのお かげ ですのよ。」



「そっか……そういえば、グランディはなんであたしを追いかけてきたの?」

「ひぇ……それは……その…………ふざけて、ナミダを ったのが魔女だと……あなたにウソをついてしまって……。」

「ふ〜ん、ウソを。」

「まさか……すぐに飛び出して行くとは…わたくしも思わず……」

「前から思ってたけど、グランディって、あたしにイジワルよね。」

「は… 反省 はんせい はいたしましたわ。だからこうやって、いろいろとおちからぞえを……。」

「そだね……グランディがいてくれて、ホントによかった。ありがと。」

「ま……まぁ、お分かりいただけて、わたくしも……よかったですわ。」

「あはははっ……。」
「ホホホホっ……。」


旅にでてから、いろんなことがあった。

こまったことやたいへんなこともあったけど、今ではそれをお話しするのがたのしくなっていた。

よるがあけるまで、あたしとグランディはいっぱい、いっぱいお話しした。


 

*********


 

「ミシェルー、ミシェル起きて!」

あたしとグランディはママにかか えられている。

朝になり、外に出てきたママがあたしたちを見つけてくれた。

「なぁに……。」

「ほら、あなたのお人形が外にあったわ。」

「……!ほんとだっ!……ミシェルの……エルシーだ。……どごにあっ…だの…?」

「玄関の前にいてあったのよ。グランディもいっしょに。だれかがとどけてくれたのかしら……。でも、服がすごく汚れてるわ……。もしかして、お出かけしてたのかしら。」

「……よかっだぁ……ヨガッダぁぁぁ!!あだじね……なぐじだど、おもっで……じんぱい……じでだんだがらぁぁ!!!」

ミシェルが大粒おおつぶの涙を目にためて、あたしをギュとだきしめた。

そんなミシェルを見て……あたしも……ちょっと涙がでた。


ミシェル……ただいま。


おしまい

 

 

 

洞窟の中の神殿

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