ここは、木が高くそびえる森の中。

つぎに 出会 であ ったのは巨大なタツマキ。

ゴォォォォォっとすごい音をたてている。

山くずしで 勝負 しょうぶ しろ!勝てばこの道を とお してやる!だって。

もう、こうなりゃなんでもこい!

ところで山くずしって、なに?



*********



ヒュゴゴゴゴォォォォオオオっ

ほそ長く、まっ黒な風がうずまいている。

木のテッペンまでとどきそうなくらいのタツマキだ。

それなのに、不思議ふしぎと風がこっちまでこない。

『ふっふっふっ……。山くずしでボクに勝負とは、 いのち知らずな……。』

「あなたが『勝負だ!』って言ってきたんでしょ?……で、どうやるの?」

『まぁ、そうあせるな。今、じゅんびしてやろう……。』




タツマキの中から手がニュっとでてきた。

手のひらを 地面 じめん にあてる。

ゆっくりと手を持ちあげると、すながパラパラと落ちてくる。

みるみるうちに砂の山ができ上がった。

まるでマジックショーみたいだ。

さらに 小枝 こえだ をとりだすと、山の一番上につきさした。

『ふっふっふっ……。 完成 かんせい だ。そして、こうやる……。』

タツマキは手で砂山を少しくずし、手もとに引きよせた。

『この時に、小枝が少しでもかたむけば負けだ……。』

「わかったわ。それを 順番 じゅんばん にやっていくのね。」




あたしは山から少しだけ砂をとった。

パラパラと砂がくずれていくが、小枝が動くほどじゃない。

次にタツマキの番。砂山をくずすが……まだ、小枝は動かない。



あたしはちょっと思った。

小枝がギリギリうごかないところまで、一気いっきに砂をとったら?

次のタツマキの番に、小枝はかならず動くはず。

思いついたら、やるっきゃない!

「いくわよ。」

あたしは手と腕を使って……、

そして《 ここだっ!》ときめた分の砂を 大量 たいりょう 手元 てもと に引きよせた。

ザザザッ……
……………コテっ

「あっ!?」

「ふぁふぁふぁぁ!!!!勝った!勝った!ぼくの勝ち!! 勝ちをいそぐあまり、よくばるからだ!!」

タツマキはクネクネおどりながら、じょうきげんだ。

……ヘンなおどりっ!

あたしは山くずしに負けたことよりも、クネクネダンスを見せられたことがくやしかった。




「も……もう一回よっ!」

『ふっふっふ……。 何度 なんど でも、あいてしてやろう……。』

「オホホホ。エルシー。あなたはホント、ドンくさいですわ。それじゃ勝てませんわよ。」

あの声が後ろから聞こえてきた。

「ぐ…グランディ?……って、生きてたんだ。」

当然 とうぜん じゃございませんこと。ヘでもないですわ。」

そうよね。あたしは、そんな気がしてた。

「……で、グランディはここで何してるの?」

「ま、そんなこと、いいじゃございません? それよりタツマキさん。こんどはわたくしと勝負いたしません?」

「ふっふっふっ……。よかろう。おまえをたおして2 連勝 れんしょう としようではないか……。」




こうしてグランディとタツマキの山くずしが はじ まった。

「いいこと、エルシー。山くずしってのはコツがございますのよ。」

グランディは山のいちばん下、スソのところをクルリと 一周分いっしゅうぶん砂をとった。

サラサラと砂がくずれるが、全体ぜんたいが同じようにくずれる。

なるほど。そうすると、小枝がかたむかない。

「グランディ。頭いい!」

「オホホホ。このていどはジョーシキでございましてよ。」



次はタツマキの番。なにごともなく砂をとった。

さらに、グランディ、タツマキ、と砂をとったあとの3ターン目。

グランディが砂をとると、

ザザっ……

ゆっくりと小枝がかたむいた。

いうほど砂山はくずれてないのに、小枝だけがかたむいたように見えた。……なんでだろ?


『やったぁぁぁぁ!やった!ぼくの勝ち!2連勝!にれんしょうぉぉぉぉぉ!』

タツマキはさっきよりもはげしくクネクネした。

「……あら、ザンネン。わたくし負けてしまいました、ワっ!!!」

グランディはおこった顔でタツマキをにらんでる。

こ……コワイ……。



「エルシー。ちょっとこちらに来てちょうだい!!」

あたしとグランディは、タツマキからちょっとはなれた。

そして、声を小さくしてないしょばなし

「今、あのタツマキ、インチキをしましたわ。」

「え?」

「わからないくらいの風を小枝に当てましたの。」

「…そんな……じゃぁ、どうするの?」

「わたくしにかんがえがありますわ。次、あなたが勝負しなさい。わたくしが横でたすけますわ。」

「わかったけど……どうやって?」

「まぁ、やればわかりますわ。わたくしにも多少たしょうココロエがございますのよ。」

とにかく、あたしはグランディをしんじて、タツマキともう一回勝負することになった。




あたしは砂山をはさんでタツマキと向かい合う。

『ふぁ!ふぁ!ふぁぁぁ!何度でもかかってくるがいい。返りうちにしてくれるわっ!』

「……い、いくわよ。」

砂山を前にして、あたしはグランディのマネをした。

山のいちばん下をクルリと一周いっしゅうして砂をとった。

たしかに、これなら小枝はかたむきにくい。

次にタツマキが砂をとる。

タツマキの砂をとったところが、くずれやすくなる。

そのあたりはとらずに、またクルリと山を一周した。

タツマキが砂をとって、3ターン目。

グランディが後ろでボソボソ言いはじめた。

それと同時どうじに小枝がなぜかプルプルふるえている。

よくわからないけど、グランディが反対はんたいから風をおくってる。たぶん。

きっと、タツマキの風とぶつかりあってバランスがとれてるんだ……と思う。



あたしは《 チャンスっ!》とばかりに、すばやく砂をとった。

小枝はビリビリと動いてはいるが、たおれてはいない。

「どうしたの?おつぎはあなたよ。」

『へ?……あれ?』

タツマキは、何がおこっているのかわからないような声を出した。

そして、タツマキが山に手をかけたと同時に、

ザザっ……

小枝がかたむいた。

「やった!あたしの勝ちね!」

『ガッ……。しまった……。しかし、どうして……。』

「やくそくどおり、ここを とお らせてもらうわね。」

「オホホホ。 なに をおっしゃてるの、エルシー。もうひと勝負いきますわよ。」

「え?……でも、一回勝てば……。」

「わたくしの負けた分も勝っていただかないと。それにわたくし、こういうの、ゆるせませんのよ。オホホ。」

口はニコッとわらってるけど、目がマジでわらってない。

あ~ぁ。本気でおこってる…。

一回負けたのを、そうとう根にもってるみたい。

このあと、何がおこるのかだいたい想像そうぞうがつく。

グランディはサササッと砂山を元にもどしている。

「さぁ、タツマキさん。つぎの勝負、いたしましょ。」

『へ?』



ここからタツマキは連戦連敗れんせんれんぱいだ。

ザザっ
タツマキの負け。

ザザザッ!
はい、タツマキの負け。

ドザザッザザッっ!!!
またまた、タツマキの負け。

つまり、コテンパンってやつ。

正直、タツマキがかわいそうになってきた。

『す、す、すみませんでしたぁ……。もう、かんべんしてもらえませんかぁ……。』

すると、黒いタツマキがシュルシュルと小さくなっていく。

そこにあらわれたのは、青色の服、トンガリ 帽子 ぼうし 小人 こびと だ。

たけもあたしの 半分 はんぶん くらい。

「これがタツマキの 正体 しょうたい ?」

「あなた、風の 精霊 せいれい " シルフ " でございましょ?」

『……はい。』

「わたくしにインチキしたのは、おぼえてて?」

『……はい…。でも…。』

「" でも " じゃございませんわ。あなた、 精霊 せいれい ちから をこんなことにつかってイイと思っているのかしら!?」

『ご…ご…ごめんなざぁい……。』

「そもそも、力をつかって、勝ってよろこぶなんて、ココロがどうかしてますわ!ハジを知りなさい!ハジを!!!」

『だぁて…だぁて…おまえだぁて、なんかヂガラづがってたじゃぁぁぁぁん!!!!!』

シルフの顔は なみだ でクシャクシャだ。

「あの……グランディ。もうそのへんで……」

あたしが止めに入ろうと思ったら――

ゴチンっ

グランディのゲンコツがシルフの頭をフルスイングして……た。

『ビ、ビ、び……ビョグワァァエェェエエぁぁあぁああんんんっ!!!!』

シルフは大泣おおなき。と、同時に風がウズをまいてきあれた。


ビュゴォォオオゴォォロォオロロオォォォォォォォォォ


まさに暴風ぼうふうだ。あたりの木の枝や石や砂がビュンビュンとばされていく。

「―― ちょ……ちょっと……。」

あたしも風にいてとばされそうだ。

ひっしで近くにあった木にしがみついた。


ズゴゴゴォォゴゴォォォロォオオォォォッォオオオォッ

「ドヒェェェェアアエエエェェェェッ!!!!!」

グランディの声だ。

風にのってクルクルと森の外へ んでいくのが、ちょっとだけ見えた。

しかし、あたしにはどうしようもなかった。


しばらくして、ゆっくりと風が止んでいく。

そこにはシルフのすがたも、グランディのすがたもなかった。

……ふっとんでった?

「グランディ、大人げないから。……きっとバチがあたったのね。」

まぁ、グランディなら……きっとダイジョウブ。たぶん。

あたしは服のほこりをはらうと、また道を歩きはじめた。




つづく

 

 

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